2005年11月26日

マンション構造計算偽造事件

 マスコミ報道が冷静に全体像を見ようという方向になりました。業界に身を置くものとして恥ずかしいことですが、建設業界、不動産業界では、手抜き、脱法、違法事件が多く、放っておけば業者は悪いことをするという前提で、そうはさせないよう何度も法律が改正されてきました。耐震性についても二回の法改正で強化されてきました。今回の事件は、そういう法律の根幹にあった建築確認制度が全く機能していなかったわけです。衝撃でした。

  不動産業界に入って四半世紀、「我家を買う」というのは大きな決断をお手伝いさせていただいています。今回の問題でも、お客様のお気持ちを考えてしまいます。マスコミは、被害者と加害者にわけ、正義の味方として被害者の側に立って加害者を追及する報道をしがちですが、構造計算書を偽造した建築士が追及されるのは当然としても、建築主の新興のデベロッパーを悪玉としてテレビ画面で追及する報道を残念に思っていました。そういう報道が問題の建物を購入された皆さんのためになるとは思えないからです。

  マンションデベロッパーの売主としての瑕疵担保責任は無過失責任です。マスコミが追及しようとしまいと売主は100%の責任を負っているのです。たとえ無過失であっても、この責任から逃げる道があるとすれば「倒産」しかないわけです。買主の皆さんは、立地もプランも気に入り、売主を信じて大きな決断をされて購入されたのです。その売主が悪徳業者だと世間の避難を浴びて倒産してしまうより、気に入った今の場所に、気に入った今のプランの住まいを建て直し、理想として描いた暮らしを取り戻した方が幸せなはずです。ご家族の暮らしをかけた大きな決断が「失敗だった」で終わってしまうより、「あの時はどうなることかと思ったけれど、売主さんも頑張ってくれて解決できた。よかった。よかった。」と思っていただける解決がされてほしいと思います。

  マンションの販売に携わるものとしては、今回のマスコミ報道で、一般の皆さんが、「新興のデベロッパーは信用できない。やっぱり、大手デベロッパーのマンションが安心だ。」となるのは残念です。街並を一変してしまうような大型開発ではなく、古い街並を尊重しながら地域で必要とされる小規模なマンションを供給しているのは中小デベロッパーなのですから。。。。

  今、マンションの売主は構造計算を再度しなおしています。建築途中の監理もしっかりとしていこうと引き締めています。建築確認審査もしっかりとされるでしょう。これからできるものは安心だと思っていただいていいのではないでしょうか。



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