2006年01月14日

高塀の中の画集

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 女性設計家の事務所でもらった資料の中の日経新聞のコピーで当社の記事を見たという方が来社されました。自己紹介代わりにくださった著作の出版社名が「心泉社」とあります。「心泉」というのは、あの竹井博友氏の雅号ではないか、刑を終えられてから出版業をされたと言っておられたから、心泉社というのは氏の会社ではないか、と思いながら本を開いたら、著作は執筆者と竹井心泉氏の対談形式のものでした。

 写真は竹井氏からいただいた画集です。竹井氏とは面識はないのですが、受刑中にちょっとしたことをさせていただいたお礼に、刑を終えられた後、巻紙に毛筆のお手紙を添えて送っていただいたものです。刑務所内のクラブ活動で、月一度、一時間の絵画クラブで絵を習ったのだそうです。独房では絵の具を使うことは禁じられているので、鉛筆で書き上げたものをクラブの時間にスピードで仕上げたものだそうです。狭い独房と小さな鉄格子の窓からは描くような対象物は見虫と花えない。独房内の便座や縞の布団を描いたら寂しさを漂わせた尿殿ができ、我ながらよく描けたと思ったら「刑務所内のものを描いてはいけない」と廃棄させられたそうです。左の絵は「高塀の中の虫と花」とあります。刑務所内のもので、虫と花だけは描いてよかったのでしょう。

 あとがきに、「獄舎の中では絵描く対象物がないので、諸先生の写真や絵を本から無断で模写させていただきました。深くお詫び申し上げます。」とありました。竹井氏は平成15年に他界されたそうです。



kumie62 at 21:28│Comments(0)TrackBack(0)clip!その他 

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