2007年04月27日

国造りと組織作り ブータン国王のリーダーシップに学ぶ

d214827f.JPG中小企業女性経営者の集まりで、西水美恵子さんに講演いただきました。何度かブログでご紹介させていただいた元世界銀行の副総裁です。
   
 感銘を受けるお話がたくさんありましたが、ここでは講演のテーマのリーダーシップについてだけ紹介します。

西水さんは
 ○官僚的な世界銀行組織を改革する。
 ○アジア担当の部署で改革に成功させたら、その改革を世銀全体に広げる。
という仕事をさせてくれるという条件で、世銀の副総裁を引き受けたそうです。

副総裁就任の挨拶でブータン国王に謁見をし、
 「民が幸せになれる国造りをするのが国のリーダーである国王の仕事である」
というブータン国王の考え方に敬服し、リーダーはいかにあるべきか、について教えを乞い、
 「リーダーは権力や地位にこだわってはいけない。リーダーの最終目的はリーダーがいなくてもうまくいくようになることなのだ。」
 と教えられます。

ブータン国王西水さんは、
「民が幸せになれる国を造るのが国王の役割なら、貧困の解消が目的の世界銀行のリーダーは、顧客である被援助国の人びとが幸せになること、世銀で働いている人たちとその家族が幸せになれるようにすることである。」

辞任の挨拶と考え、トップダウンの縦割り組織ではなく、世銀の職員と被援助国の人たちの活躍をトップが下から支える組織にし、改革に成功します。そして、副総裁6年半で「これ以上続けると“みえこの改革になる”」と、ブータン国王に辞任の挨拶をし世銀を退職されました。

 2006年12月、ブータン国王も、自分が作った国王の定年65才を待たず、王位を皇太子に譲っています。立憲君主制の憲法が制定され、2007年には選挙制度による議会制度が発足するそうです。
 民主主義は革命とか敗戦を経て獲得してきたものですが、王制自らのリーダーシップで民主化するという世界史にない実践が、世界銀行の改革のモデルになり、企業経営者のリーダーシップのお手本にも。。。貴重なメッセージをいただきました。

 国王に謁見した時のことについては経済産業研究所のサイトの雑誌「選択」に詳しく書かれています。同サイトにはリーダーシップについての講演記録もあります。
 ブータン国王の写真は西水さんのサイトの「選択」からお借りしました。


kumie62 at 21:31│Comments(2)TrackBack(0)clip!女性と仕事 

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この記事へのコメント

1. Posted by 若林亜紀(ジャーナリスト)   2007年04月28日 17:15
トップダウンでなく、トップが被援助国と職員を下から支えるっていいですね。すべての組織にあてはまるのでなく、世銀のような、優秀な職員が多い組織で、援助対象国にやる気があるからというのもあるのだろうと思いました。
2. Posted by 川本   2007年04月28日 21:12
若林様
朝までテレビから帰られたくらいの時間ですね。

世銀でも、過去の融資プロジェクトの中には、若林さんが日本の官僚機構で指摘しているような問題があり改革が必要だった。

日本の企業経営者も官僚も、ブータン国王のリーダーシップを知って変ってほしい!
頭と心が繫がっている女性経営者たちに頑張ってほしい!
で、お話くださったのだと思っています。

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