2009年04月10日

国をつくるという仕事

20090409国をつくるという仕事以前ブログで紹介させていただいた前世界銀行副総裁西水美恵子さん「国をつくる仕事」を出版しまた。筆者が世銀時代に知り合った「一国の宰相から貧村の農民までともに闘った同士たちが示した本物のリーダーシップ」を紹介しています。

米国プリントン大学で経済学を教えていた筆者が世銀に入行して23年、「貧困のない世界をつくる」夢を追い続けています。常に現場主義で、貧村の家庭にホームスティし、アマ(お母さん)たちから娘のように可愛がられ、アマたちから教えられた情報をその国の政策に生かさせています。

「世銀での現場体験を振り返ってみると、やはり、権力者の腐敗と悪統治を敵にまわして戦うリーダーたちの、補佐に徹した年月だった。自分の仕事は「憎まれ役」だと笑って盾になり、『どうせやるなら大々的に』と喜んで喧嘩を買い続けた」
ともあります。日本にもこういう女性がいたのかと感嘆します。

パキスタンのクーデターの成功に「腐った政治が終わった」と躍り喜ぶ男たちの姿に、
「その腐った政治家を選んだのはいったい誰なのだ」
とテレビの画面を怒鳴りつけた、ともあります。シャリフ政権の悪政と戦いながら改革する人たちを支援し、あとはトップの説得だと、彼らの要望でシャリフ前首相に直談判し、債務不履行だったシャリフファミリーの債務の返済が始まったところで起きたクーデターだったのです。

本書には、僅かですが筆者の世銀改革にについても触れています。

「世界銀行を草の根に近づけ、行員の意識改革をねらい、まず、南アジアを模範にと断行した。各国担当局長を現地在留にして業務全権を譲り、従来の本部指導型をひっくりかえした。専門職員の現地採用を常識化し、本部職員との間にあった根強い差別待遇も消していった。各国事務所には、国内や海外在留の民間層からおどろくほどの優秀な人材が集まり、無理だと言われた女性専門職員も増え、『土地カン』以上の効果があった。職員全体の国づくりへの情熱にも沸々としたものを感じるようになった。。。。。」
とあります。

国政選挙のある年です。
政治家を目指す人たちだけでなく、政治家を選ぶ我々も一読しておきたい本です。尚、本書の印税は、ブータンのタラヤナ財団に寄付されるそうです。

kumie62 at 11:56│Comments(0)TrackBack(0)clip!読書 

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