2009年05月11日

緊急シンポジウム 「ハウジング・プア 奪われる人権」

c30bef1c.JPG 第9回日本居住福祉学会全国大会のテーマは「社会的入院から地域居住へ」ということでしたが、開催地が大量の派遣切りをしたトヨタ自動車の地元、名古屋でしたので、
 緊急シンポジウム「ハウジング・プア 奪われる人権」
が開催されました。

 愛知派遣村実行委員会の報告によると、
 派遣労働者の相談が急増し、シェルター、自立支援センター、一時保護所、緊急宿泊施設がすぐに満杯、福祉アパートを確保して宿泊開始を開始し、以後、次から次へと福祉アパートを確保して入居させる状況がある。

 福祉アパートは福祉政策として用意された建物ではなく、元社員寮などを利用した食事付き住宅(個室、保証人不要、頭金不要)で、家賃を基準内の38,500円としたもの。その他の条件は若干違うが、管理費12,500円、光熱費10,700円、食費36,000円などが家賃を含め請求され、保護費(生活扶助費)80,000円を受ける人たちにターゲットを絞った民間の賃貸ビジネス。会場では「貧困ビジネス」という言葉が使われていました。

 トヨタ自動車の期間工から派遣社員になり、派遣切りされたという元派遣労働者(現在は派遣労働者ユニオンの委員長)によると、トヨタに直接採用されたときに与えられた社員寮もこの福祉アパートと同じレベルのものだったそうです。彼は派遣元との交渉で補償金を一時金で得、敷金礼金等を払うことができたので、福祉アパートを出て普通のアパートに移ったそうです。一時金さえ払えれば、福祉の基準家賃38,500円で、福祉アパートよりスペースが広く、交通便もよい条件のいいアパートがたくさんあるのだそうです。

 劣悪な社宅用建物を建てさせ、借り上げして工場労働者を住まわせ、派遣切りして追い出し、野宿生活を経て、福祉のお金でまたそこに舞い戻らせている現実があったとは。。。。。

 ILO(国際労働機関)は「社宅禁止勧告を出しており、社宅がある場合について、
 「雇用契約の終了による、住宅の賃貸もしくは占有契約の終了については、国内法と慣行が充分に尊重されなければならない」
 とあり、社宅であっても借地借家法が適用されるべきということになります。

 「転居先が決まるまで待ってほしい!」
 と派遣労働者たちは思ったでしょう。口にした人もいるでしょう。でもしっかりとした要求にして闘うだけの力はなかった。
 でも、ILOの勧告を労働組合幹部が把握していないはずはない。同じ職場で働いている仲間が仕事だけでなく住まいもなくすという状況を自分たちの問題として捉えようとしなかった。。。。これが日本の労働組合の体質なのだろう。

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