2015年08月21日

「この法案は『非安全保障法案』だ」 ヨハン・ガルトゥング博士

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平和学の父 未来を憂う 本誌インタビュー
「安保法案 日本へ災難もたらす」

「平和学の父」ともいわれ、「積極的平和」の概念を提唱したヨハン・ガルトゥング博士(八四)が、くしくも参院で安全保障関連決案の審議が再開し た十九日に来日した。自身が提唱した言葉と同様の日本語に訳される「積極的平和主義」の名の下に安倍普三首相は武器の輸出を解禁し、集団的自衛権 の行使を認める政策を進める。平和学研究の老大家に、日本の行く末はどう映っているのか。(宮畑譲、1面参照)

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 「安倍首相の言う『積極的平和主義』は、日米の軍事的な同盟がベースだと思う。私の提唱した構造的暴力のないという概念は入っていないだろう」
 博士は貧困や差別といった構造的な暴力のない社会状況を「積極的平和」と呼び、単に戦争のない状況を「消極的平和」と定義している。安倍首相が 使う言葉の用法には首をかしげる。
 深く刻まれたしわの奥にあるつぶらな目をしばたたかせながら、淡々と語る博士。時に笑顔も見せるが、平和を語る厳しいまなざしは怖いほどだ。
 安倍首相が成立を目指す安保法案に対し、法案を注視してきた博士の見解は極めて否定的だ。
 「(成立すれば)日本が米軍とスクラムを組んで戦争をすることになる。そうすれば、日本がどこかの国から反撃され、最終的に日本に大きな災難を もたらす。この法案は『非安全保障法案』だ」
 さらに「法案の影響で、東アジアで軍拡競争が起きる。
軍拡競争は多くの場合、戦争につながる」と付け加えた。
 戦後、対米関係を重視してきた日本の外交についてはこう嘆く。「残念ながら、日本の戦後七十年は米国のイエスマンで、失われた七十年だった。
東アジアの近隣諸国との関係づくりに創造性がなかった」
 博士は、十四日に安倍首相が発表した戦後七十年談話も英文で読んだという。談話は「積極的平和主義の旗を高く掲げ」、世界平和に貢献するとして いるが、「旗は問題ではない。スローガンだけではなく、中身が必要だ」と指摘した。
 具体的には「将来の東アジアの平和構築に向け、東アジアでヨーロッパのような共同体をつくるために主体的に尽力すべきだ」と提言する。その本部 機関は、地理的に沖縄に置くのが最適だとした。
 博士は、戦後七十年間、海外で武力行使をしなかった日本の憲法九条に、大きな関心を寄せている。
 「現段階で専守防衛は必要。(二項前段の)戦力の不保持は今は現実的ではないが、遠い未来において、世界で実現してほしい」。そのうえで、戦争 放棄をうたう九条一項の理念を「全世界に採用されるべきだ」と語った。
平和学の父 未来を憂う 
「安保法案 日本へ災難もたらす」

「平和学の父」ともいわれ、「積極的平和」の概念を提唱したヨハン・ガルトゥング博士(八四)が、くしくも参院で安全保障関連決案の審議が再開し た十九日に来日した。自身が提唱した言葉と同様の日本語に訳される「積極的平和主義」の名の下に安倍普三首相は武器の輸出を解禁し、集団的自衛権 の行使を認める政策を進める。平和学研究の老大家に、日本の行く末はどう映っているのか。(宮畑譲、1面参照)

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 「安倍首相の言う『積極的平和主義』は、日米の軍事的な同盟がベースだと思う。私の提唱した構造的暴力のないという概念は入っていないだろう」
 博士は貧困や差別といった構造的な暴力のない社会状況を「積極的平和」と呼び、単に戦争のない状況を「消極的平和」と定義している。安倍首相が 使う言葉の用法には首をかしげる。
 深く刻まれたしわの奥にあるつぶらな目をしばたたかせながら、淡々と語る博士。時に笑顔も見せるが、平和を語る厳しいまなざしは怖いほどだ。
 安倍首相が成立を目指す安保法案に対し、法案を注視してきた博士の見解は極めて否定的だ。
 「(成立すれば)日本が米軍とスクラムを組んで戦争をすることになる。そうすれば、日本がどこかの国から反撃され、最終的に日本に大きな災難を もたらす。この法案は『非安全保障法案』だ」
 さらに「法案の影響で、東アジアで軍拡競争が起きる。
軍拡競争は多くの場合、戦争につながる」と付け加えた。
 戦後、対米関係を重視してきた日本の外交についてはこう嘆く。「残念ながら、日本の戦後七十年は米国のイエスマンで、失われた七十年だった。
東アジアの近隣諸国との関係づくりに創造性がなかった」
 博士は、十四日に安倍首相が発表した戦後七十年談話も英文で読んだという。談話は「積極的平和主義の旗を高く掲げ」、世界平和に貢献するとして いるが、「旗は問題ではない。スローガンだけではなく、中身が必要だ」と指摘した。
 具体的には「将来の東アジアの平和構築に向け、東アジアでヨーロッパのような共同体をつくるために主体的に尽力すべきだ」と提言する。その本部 機関は、地理的に沖縄に置くのが最適だとした。
 博士は、戦後七十年間、海外で武力行使をしなかった日本の憲法九条に、大きな関心を寄せている。
 「現段階で専守防衛は必要。(二項前段の)戦力の不保持は今は現実的ではないが、遠い未来において、世界で実現してほしい」。そのうえで、戦争 放棄をうたう九条一項の理念を「全世界に採用されるべきだ」と語った。


kumie62 at 20:44│Comments(0)TrackBack(0)clip!政治 | 憲法

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